Yasuyuki KAWANISHI + ICHIBANSEN / nextstations
​川西 康之 + 株式会社イチバンセン 一級建築士事務所 / ネクストステーションズ

指宿枕崎線の枕崎駅開業60周年を記念して、鹿児島県枕崎市が主催して鉄道に関する展示を枕崎市文化資料センター南溟館で実施することになりました。当社はこの展示の企画・プロデュース・グラフィック作成・ワークショップ実施・会場設計・施工監理など全てを統括・担当しました。

枕崎市に初めて鉄道が開通したのは1931年。戦争の時代を経て、戦後は鰹節・鮮魚・焼酎・茶葉・黒豚・木材など枕崎が誇る日本一の特産品は、鉄道のネットワークを活かして全国的なブランドへと成長させました。ところが少子高齢化が進む今現在、枕崎駅の利用者は僅かな学生と鉄道愛好家のみが乗降する状態です。車社会の深度化により、商業施設は駅前から郊外へと転移し、薩摩半島での鉄道の役割は変わりつつあります。

この展示では「ノスタルジーとテクノロジーで枕崎の未来へ」をテーマに掲げて、日本一を誇る枕崎の特産品の販売促進に鉄道が果たした役割、今現在の薩摩半島の鉄道・公共交通の現状把握、さらにオンデマンド交通・ドローンによる貨物輸送の紹介、世界各地の最果ての鉄道の様子をパネル展示で紹介しました。沿線の高校生代表として、ラ・サール学園の生徒らにご協力頂き、英国の保存鉄道との対話などワークショップを実施し、若い人たちが考える将来の指宿枕崎線を鉄道模型で製作頂きました。

赤字ローカル線の持続可能性を巡る議論は、日本全国のみならず世界中で巻き起こっています。このような展示を切っ掛けに、過去と未来を客観的に整理整頓する重要性を私たちは感じました。

 

概要

事業主：鹿児島県枕崎市

施工者：株式会社フタバ

デザイン監修：川西康之, 佐藤亮介 + ICHIBANSEN / nextstations